ニシムラ・オオサカ

朝起きたら妻がいなかった。まずい、この間のエントリを読まれてしまったか、いいや、そんなことはあるまい。あれ別に読んだかて、誰もどこへも出て行く理由にゃならないじゃないか。ォィォィおれは一体そんなに何に同様しているんだ。  せや、今日は高校の時の友人と遊びに行くとか言ってたっけ。旅行好きな友人だったはずだから、朝早くから遠出でもしてるのだろう、この盆のクソ暑い時に健康なこった。


娘と朝食を済ませたあと、娘を公園へ誘う。時間にして朝の9時。遊びに行くには早いのは分かっているが、暑さが幾分マシだろうと思って、夏場は朝早くに公園へ行くようにしている。 どっちみち公園には行くことになるのだ、何もぶっ倒れるリスクを犯してまで昼間に行くこたぁない。公園に行くときには、娘は最近決まってコマ付き自転車に乗るとせがむ。家から歩いて3分の公園、着いただけでも汗が噴き出している。私は着くなり屋根つきのベンチに腰掛け、一服に興じる。公園半周を自転車で巡ってきた娘はベンチの前に自転車を止めながら、突然「タダイマ」と私に挨拶を投げかけてくる。
あー絶対また「ナントカごっこ」に違いない、今度はどんな役回りに仕立てようというのだ、ここで「お父さんは誰(の役をすればよろしいのでしょうか)?」なんてヤボな質問をしちゃいけない。「何してたの」との問いに「ガッコウ行ってきたの」との情報を得る。娘の設定は小学生以上、大学生未満だ。娘の想像力だと、小中学生が精一杯のハズだ。「そっかー、お父さんはね家でゴロゴロしてたの」と軽い相槌のつもりが「違う!お兄ちゃんなの!」と叱咤を受ける、軽率だった。「おし、お兄ちゃんも学校から帰ってきたところやで」と繋いで、学校での授業の様子を(想像で)聞かせてくれるのだろうと思いきや、出てきた言葉は「今日はキャンプに行くで」とのこと。どうやら、おそらく日付が変わったらしい。「車と電車と新幹線に乗っていくねんで、遠いところでキャンプするねんで、電車でゲー出たらアカンから(訳:気分が悪くなってはいけないから)早く寝るねんで。」 あれ、やはり日付は変わっていなかったのか?いや、細かなところはどうだって良いハズだ、キャンプに乗っかっておけば間違いないだろう。キャンプに乗り気な兄は、前のめりになって訪ねる「どこへキャンプに行くの?」
一瞬ハッとした表情を見せたかと思えば、幾分目を細めて遠くを眺めた後、優しげな、しかし自身なさそうな目をしながら、娘はこう返してきた「えーっと、ニシムラ・オオサカ」
「車と電車と新幹線に乗っていく」ような地名を知らなかったのだろう、ニシムラてどこやねん、ていうか、誰やねん。  少々、バツの悪そうな娘は気を取り直して「やっぱりキャンプ私行かんとくわ、おうち帰るわ、バイバイ」と自転車で去ってしまった。 あれあれ、あれーッ?兄弟なのに別居してたんかよ、もうえぇわ。

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