ゼロサムゲーム

先週、実家に帰省した際、私の親父がとある外資系銀行に口座を開設した話を聞いた。どうやら円定期預金の金利が良かったからとのこと。その銀行は全額円定期だけを申し込まれては割りに合わないという背景から、どうやら投資信託を勧めてきたという話だ。行員の勧める文言そのままに「資産三分法」を私に紹介してくれた。「株式が上がると、債権は一般的に下がる傾向にあるから...」と熱心に語っている様子を見ると、「知ってるよ」とは言えず「あぁ、聞いたことがある」というコメントに留めておいた。

ちょうど私も同行には口座を外貨預金で持っているので、1万円だけ実現益が出ている話をすると「25万円も預けて1万円かい」とカウンタを食らう。おいおい、遥か昔、金の延べ棒の価値を半額になるまで保持していたのは誰の親だというのだ。初めて4年程度だから、複利計算しても年1%だ。それだけありゃ親父が今から申し込もうとしている円定期預金に匹敵する利率じゃないか。

昔から親父の書斎には「株式入門」などの本が並んでいたが、本人は「株式は勝つ者がいれば、必ずそれに応じて負ける者がいる。一種のゼロサムゲームだから賭博だと思う」と否定的な見方をしていた。それもそうだ、株式などのリスクを負わなくとも、銀行に預けているだけで10年も経たずに預け金が倍になるような時代を歩んできているのだ。

しかし、そんな親父も「資産三分法」などを口にしながら投資信託を選ぶ時代になっている。郵貯が始めた投資信託の販売も、お年寄りに好評だと聞く。資産の大きな移動を身をもって感じた瞬間だ。
さらに資産運用の本を紹介して持って帰れと言った上に、お前も日本国債でも買えばどうだ、だとさ。それだけ前振りしておいて、勧めるのは国債なのか。その本には国債を勧めるような記述なかったじゃないか、ちゃんと読んだのか!?まったく人のことはいざ知らず、親父も早く引っ越した家のローンを前倒し返済した方がいいんじゃないの?といらぬ心配までしてみる。

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