フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
クリス・アンダーソン  
日本放送出版協会
フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略(Amazon.co.jp)

「ロングテール」という言葉を世に知らしめた米「ワイアード」誌編集長の新著。
なぜネット上ではこうも有益なコンテンツが「無料」なのか、どうやってそこから利益を得ているのか。そんな素朴な疑問から始まり、従来のアトム(モノ)から、ネットを中心としたビット(情報)が流通される経済において、貨幣の持つ意味とは何かまでを順を追って導いてくれる。

無料について考える
それらの疑問への回答に導くべく、まずは「無料」の意味を明かすことから出発する。「世の中に無料なんてものはない」とよく言われるが、ここでの「無料」とは狭い意味での貨幣の支払いがないのであって、代わりに支払われている貨幣以外のコストの存在が明かされる。また人間の心理の観点から「無料」の持つ意味や効果についても供述がある。

それでも無料じゃ食えません
さて「無料」の意味とそのパワーが理解できたとしても、本著ではボランティア活動ばかりを奨励しているのではない。ここからが本題である。無料から利益を生み出すビジネスモデルについてである。雑誌の編集者らしい情報収集によって、多くの企業のビジネスモデルやその利益構造が例示されるばかりか、無料を核とした、大きく4つのビジネスモデルへの分類が試みられている。その中で、従来経済での無料を意味するもの(別の商品に価格転嫁されている)と、ボランティアに近いもの、ネットバブル期に流行った広告などで賄われるものと、本書の軸でもある「一部のユーザーのプレミアム版(有料商品)の利用で賄われるもの」(フリーミアム)に分けられている。さらにそれら個別の構造についても分かりやすく説かれている。

さらなる武装とハウツーへの落とし込み
無料についての理解とビジネスへの適用の道筋ができると、細かな異論への反証や、これらのビジネスモデルを経済的な意味で捉えなおすことにより、これまでの主旨の肉付けが行われているので、これまでの曖昧さも解消される。巻末にはさらに贅沢なことにもっと多くのサンプルモデルの例示や、「無料のルール」といった原則として構築までされている。急いで上っ面だけを模倣して根源的な仕組みの理解不足を起こさないよう、巻末付録のハウツーは最後まで見ないでおくのが良いだろう。

最後に
単に「無料って何」という話かと思えば、従来の企業の利益構造を覆すほどの大きな挑戦が刷り込まれた本だった、大人気なのも頷ける。ネットが当たり前の若い世代には当たり前のことなのだろうが、それでも経済そのものの構造が変わりつつある気にさせられる。できれば旧来の利益モデルと合わせて理解を深めたい。モノを売り利益を上げる体系的なモデルの分類は、ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか(Amazon.co.jp) が分かりやすいので併せてオススメしたい。

タグ: ウェブ, 経営, 経済

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カオティクス―波乱の時代のマーケティングと経営

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ジョン・キャスリオーネ フィリップ・コトラー  
東洋経済新報社
カオティクス―波乱の時代のマーケティングと経営(Amazon.co.jp)

予想外の乱気流
現在世界中がその渦中にある金融危機。それは決して過去に起こりえなかった「前代未聞の事態」が起きたのではない。しかし、以前のような景気サイクルから、ある程度大局的な予想が出来るようなものではなく、「乱気流」のように全く予想がつかないものになるというのが本書のテーマ。

バタフライ効果
本書ではその根拠を、急速に広まったグローバル化によるものだと述べ、世界中に行き届いたインターネットと経済の「繋がり」は、国家を越えて、ネガティブな連鎖をも引き起こしやすくなっている、と指摘する。特定の地域や業種における小さな危機が収束せず、世界的な金融不安まで拡大された今回の事象は、まさにバタフライ効果―アマゾンを舞う1匹の蝶の羽ばたきが、遠く離れたシカゴに大雨を降らせる―として説明されるカオス理論(カオティック)として捉えるべきだと。

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ここまでだと、この不安な時代に「ウケそうな」お題なだけなのだが、興味深いのは、著者の一人(共著)が、フィリップ・コトラーであるのだ。「近代マーケティングの父」と呼ばれる第一人者が、この世界的金融危機を乱気流と表現するばかりか、その乱気流の中を無事にフライトした企業を引き合いに出しながら、これからの不確実な時代に必要なものを説く。

タグ: 環境, 経営, 経済, 複雑系

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石黒 謙吾

学習研究社

エア新書―発想力と企画力が身につく“爆笑脳トレ” (学研新書)(Amazon.co.jp)

新書ブーム
今までになかったほどの「新書ブーム」が騒がれて随分経つ。紐解いてみればバカの壁 (新潮新書)(Amazon.co.jp)が2004年、さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)(Amazon.co.jp)が2005年に出版されたのだが、もう4,5年経っているということか。
著者は、そんな書籍のブームを間近で見ている著述家であり編集者。「○○力」や「仕事ができる○○」などといったブームに乗っかる新書らしいタイトルや、続々と生まれる新書レーベルに対し、ククッと笑える風刺の効いた企画「エア新書」。
著名人が書きそうな、けれど絶対出版されなさそうな架空の新書の表紙画像が、休む間もなく繰り出される。

あまり抜粋すると面白くなくなるので、一番気に入ったヤツだけ取り上げてみたい。
 千手観音的仕事術
  -四方八方に手を伸ばしてみよう- EXILE

ただ列挙するだけでなく「このようにして新書企画を考えて、脳を柔らかくしましょう」と、これまた新書らしい主旨になっているくらいの風刺の徹底っぷり。

タグ: 文化, 読書

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佐藤 雅彦  
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見たことのあるイラスト
著者名でピンと来たなら相当なファンだろう。本文中のイラストも「何かどこかで見たことがある」ようなイラストだ。是非、wikipediaで著者名を検索してみて欲しい。

タグ: 哲学, 思想, 自己啓発

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