ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階

ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階

ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階
ジェームズ・C・コリンズ(James C. Collins)  
日経BP社
ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階(Amazon.co.jp)

謝辞
前書き

第一章 静かに忍び寄る危機
危機の瀬戸際にあって気づかない

第二章 衰退の五段階
調査の過程
調査結果ーー五段階の枠組み
脱出への道はあるのか

第三章 第一段階 成功から生まれる傲慢
傲慢な無視
何となぜの混同

第四章 第ニ段階 規律なき拡大路線
自己満足ではなく、拡張しずぎ
成長への固執
パッカードの法則の無視
問題のある権力継承

第五章 第三段階 リスクと問題の否認
方針の誤りを示す事実が積み重なるなかで大きな賭けに出る
喫水線下のリスクをおかす
否認の文化

第六章 第四段階 一発逆転策の追及
特効薬を探す
パニックと必死の行動

第七章 第五段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅
戦いをあきらめる
選択肢が尽きる
否認なのか希望なのか

第八章 充分な根拠のある希望

付録一 衰退企業の選別基準
出発点
基準一–設立以来のいずれかの時期に偉大な企業であったこと
基準二–偉大な企業から凡庸な企業かそれ以下に転落したこと
基準三–その他の除外理由
付録二 比較対象成功企業の選別基準
付録三 ファニーメイと二〇〇八年の金融危機
付録四A 自己満足仮説の間違いを示す事実の一覧
付録四B 一発逆転策の追求を示す事実
付録五 主要なポストに適切な人材の条件
付録六A IBMの衰退と回復
付録六B ニューコアの衰退と回復
付録六C ノードストロームの衰退と回復
付録七 良好な企業から偉大な企業への飛躍の法則
ーー枠組みの要約
第一段階 規律ある人材
第ニ段階 規律ある考え
第三段階 規律ある行動
第四段階 偉大さが永続する組織をつくる

「ビジョナリー・カンパニー」「ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則」の続編のような邦題だが、原著には「ビジョナリー・カンパニー」の名はなく、新たなテーマに基づき調査された結果をまとめたもの。ただ、前作までの企業のその後が多く取り上げられている。

偉大と評された企業がなぜ衰退してゆくのか。その調査は前作までと同様、客観的で豊富なデータをもとに克明な調査・分析が行われ、そこに共通する要因を探られたものだ。急成長の裏に隠れていた利益率の低下、突然の競合の台頭、トレンドへの遅れ、市場の衰退などといったリスクを目の当たりにした時、一度は大きな成長をなし遂げた経営陣は、そこで何を慌て恐れ、そして何を見失っていったのか。「何もせず立ち止まっていたとしてもやがて衰退する」ことが明らかになった時、どこにテコを入れようとしたのか。

衰退への道は決して「一瞬の判断が命取り」となったものではなく、衰退へのフェーズをその特徴から5段階に分けて進んでいくことを著者は指摘。ところが、復活を誓う経営陣は、革命と呼ぶに近いドラスティックな改革(一発逆転策・特効薬)にばかり心を奪われ、その改革に費やしたリソースが、結果的に大きな衰退の要因になっているということをあぶり出す。

衰退の原因というのは、成功のそれと比べあまりにも種類が豊富だ。ところが衰退を語る場合、その詳細が多く振り返られることはあまりない。なぜならその原因は、複数あるうちのそのひとつでも語られれば誰しも納得できてしまうからだ。本書のように、(多少無理矢理だったとしても)衰退への段階を5段階に分けて、その中で誤った判断の類似を見つけ出したことは、「衰退」全てに当てはまるとは決して言い切れないにしても、意味があるようにも思う。

読み終えた後には、なんだか事業経営の途方もない苦労ばかりが印象づけられるのだが、本書では衰退途中から回復した事例なども取り上げられている。ただ、回復事例は衰退した企業からさらに数が絞り込まれるためか、衰退からの回復における記述は、規律や理念など前作までの論点を補強・補完するような位置付けに留まっている。

さすがに、テーマがテーマだけに仕方ないのだが前作までのような勢いはないのだが、戒めとして得るものは多い。

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みんなのPython 改訂版

みんなのPython 改訂版

みんなのPython 改訂版
柴田 淳  
ソフトバンククリエイティブ
みんなのPython 改訂版(Amazon.co.jp)

2006年の発売以来、Python解説書の定番として好評をいただいております「みんなのPython」が、Python 2系の最新バージョン「2.6」に対応し、しかも2色刷りになって新登場。また、次期バージョンPython 3についても、その差異について徹底解説。

第01章 プログラミング言語Python
第02章 変数と組み込み型
第03章 条件分岐とループ
第04章 関数
第05章 組み込み型を使いこなす
第06章 ファイル処理
第07章 華麗で短いプログラミング
第08章 クラスとオブジェクト指向開発
第09章 クラスの継承と高度なオブジェクト指向機能
第10章 例外処理
第11章 モジュール
第12章 スコープとオブジェクト
第13章 標準ライブラリを使う
第14章 アプリケーションを作る
第15章 Python 3

ずっとPHPを使ってきたんだけど、どうも「飽きた」ので、Pythonを学ぼうと決意表明のために投資。

冒頭から順序よく、プログラム言語入門書には「王道的」な順序でPythonプログラミングの基本が紹介されており読みやすい。リファレンスじゃなく基礎本なんだから、個人的には、サンプルコードは一部分だけ記載せず、机上ウォークスルーで動きをじっくり確認できるくらいの量が欲しい。

最近の言語って、基本ステートメントや文法ばかりじゃなく、OO周りの言語固有の特殊なメソッドやステートメントが多く、習得が難しくなってきてるように感じている。他言語からの乗り換えでも、リファレンス一冊では正直しんどいので、こういった基礎本が必要になる。いや単に物覚えが悪くなってきているだけかも知れない。それでもPythonは、基礎のプログラミング教育に使われるほど、シンプルで分かりやすい言語であるらしい。オブジェクト指向を前面に押し出している割には、どのオブジェクトにも紐付かない中途半端な組み込み関数があるなど、個人的には少々気持ち悪い(それでも設計思想的にPHPより全然良い)。

なぜか書籍の感想を記すつもりが、言語仕様について感想が主になってしまったが仕方がない。それだけ、Pythonの基本的な事柄が、この本から学ぶことができたということだから。

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これからの「正義」の話をしよう ―いまを生き延びるための哲学

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
マイケル・サンデル Michael J. Sandel  
早川書房
これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学(Amazon.co.jp)

1人を殺せば5人が助かる状況があったとしたら、あなたはその1人を殺すべきか? 金持ちに高い税金を課し、貧しい人びとに再分配するのは公正なことだろうか? 前の世代が犯した過ちについて、私たちに償いの義務はあるのだろうか――。
つまるところこれらは、「正義」をめぐる哲学の問題なのだ。社会に生きるうえで私たちが直面する、正解のない、にもかかわらず決断をせまられる問題である。
哲学は、机上の空論では断じてない。金融危機、経済格差、テロ、戦後補償といった、現代世界を覆う無数の困難の奥には、つねにこうした哲学・倫理の問題が潜んでいる。この問題に向き合うことなしには、よい社会をつくり、そこで生きることはできない。
アリストテレス、ロック、カント、ベンサム、ミル、ロールズ、そしてノージックといった古今の哲学者たちは、これらにどう取り組んだのだろう。彼らの考えを吟味することで、見えてくるものがきっとあるはずだ。
ハーバード大学史上最多の履修者数を記録しつづける、超人気講義「Justice(正義)」をもとにした全米ベストセラー、待望の邦訳。(カバー袖より)

NHK ハーバード白熱教室で紹介されて、今でも再放送されているばかりでなく、NHKオンデマンドでの配信やDVDの発売も決定されているらしいので、ご存じの方も多かろう。

上で紹介したカバー袖のとおり、具体例を挙げながら「正しい行いとは何か」を、問い詰めて問い詰めまくられる、まさに知のダイビング。教科書に答えの載っていない問題が次々と押し寄せてくるため、なんとか自分なりの答えを導こうとするも、「これが正しいことなのか?」と、心が引き裂かれる思いで何度も苦悶するばかり。

さすが書籍では議論や意見を交わすことができない。だが、それぞれの問いを軸に答えへ導く中で、多くの人が考えそうな論理や、過去の偉人たちが残した考えや思想・哲学が紹介される。さらに、その考えの正しさをさらに問うことで、講義で行われる議論に似たプロセスを追体験できるように配慮されている。

はっきり言うと、結論は最終章にまとめられている。もちろん、この結論はサンデル氏の意見、見解であり「正義とは『ほにゃらら』だ」という万人が納得する答えが記されている訳ではない。答えを急ぎ、書籍の知識を商品と見なして速読しちゃうような人には向いていないだろう。

サンデル氏の立場・見解については、ここで評するつもりはない。
おそらく、あなたにとっての「正義」とは、自らで導き出した正義の定義そのものではなく、心引き裂かれる思いで悩んで苦悶して考え抜くそのプロセスのことを指すのだと思う。あなたが正義について真剣に考えること、そのことが「正しい行い」への第一歩なのだ。

早川書房のサイトで、1章だけPDFで掲載されており無料で読めるみたい。
これからの「正義」の話をしよう:ハヤカワ・オンライン

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フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
クリス・アンダーソン  
日本放送出版協会
フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略(Amazon.co.jp)

「ロングテール」という言葉を世に知らしめた米「ワイアード」誌編集長の新著。
なぜネット上ではこうも有益なコンテンツが「無料」なのか、どうやってそこから利益を得ているのか。そんな素朴な疑問から始まり、従来のアトム(モノ)から、ネットを中心としたビット(情報)が流通される経済において、貨幣の持つ意味とは何かまでを順を追って導いてくれる。

無料について考える
それらの疑問への回答に導くべく、まずは「無料」の意味を明かすことから出発する。「世の中に無料なんてものはない」とよく言われるが、ここでの「無料」とは狭い意味での貨幣の支払いがないのであって、代わりに支払われている貨幣以外のコストの存在が明かされる。また人間の心理の観点から「無料」の持つ意味や効果についても供述がある。

それでも無料じゃ食えません
さて「無料」の意味とそのパワーが理解できたとしても、本著ではボランティア活動ばかりを奨励しているのではない。ここからが本題である。無料から利益を生み出すビジネスモデルについてである。雑誌の編集者らしい情報収集によって、多くの企業のビジネスモデルやその利益構造が例示されるばかりか、無料を核とした、大きく4つのビジネスモデルへの分類が試みられている。その中で、従来経済での無料を意味するもの(別の商品に価格転嫁されている)と、ボランティアに近いもの、ネットバブル期に流行った広告などで賄われるものと、本書の軸でもある「一部のユーザーのプレミアム版(有料商品)の利用で賄われるもの」(フリーミアム)に分けられている。さらにそれら個別の構造についても分かりやすく説かれている。

さらなる武装とハウツーへの落とし込み
無料についての理解とビジネスへの適用の道筋ができると、細かな異論への反証や、これらのビジネスモデルを経済的な意味で捉えなおすことにより、これまでの主旨の肉付けが行われているので、これまでの曖昧さも解消される。巻末にはさらに贅沢なことにもっと多くのサンプルモデルの例示や、「無料のルール」といった原則として構築までされている。急いで上っ面だけを模倣して根源的な仕組みの理解不足を起こさないよう、巻末付録のハウツーは最後まで見ないでおくのが良いだろう。

最後に
単に「無料って何」という話かと思えば、従来の企業の利益構造を覆すほどの大きな挑戦が刷り込まれた本だった、大人気なのも頷ける。ネットが当たり前の若い世代には当たり前のことなのだろうが、それでも経済そのものの構造が変わりつつある気にさせられる。できれば旧来の利益モデルと合わせて理解を深めたい。モノを売り利益を上げる体系的なモデルの分類は、ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか(Amazon.co.jp) が分かりやすいので併せてオススメしたい。

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カオティクス

カオティクス―波乱の時代のマーケティングと経営

カオティクス―波乱の時代のマーケティングと経営
ジョン・キャスリオーネ フィリップ・コトラー  
東洋経済新報社
カオティクス―波乱の時代のマーケティングと経営(Amazon.co.jp)

予想外の乱気流
現在世界中がその渦中にある金融危機。それは決して過去に起こりえなかった「前代未聞の事態」が起きたのではない。しかし、以前のような景気サイクルから、ある程度大局的な予想が出来るようなものではなく、「乱気流」のように全く予想がつかないものになるというのが本書のテーマ。

バタフライ効果
本書ではその根拠を、急速に広まったグローバル化によるものだと述べ、世界中に行き届いたインターネットと経済の「繋がり」は、国家を越えて、ネガティブな連鎖をも引き起こしやすくなっている、と指摘する。特定の地域や業種における小さな危機が収束せず、世界的な金融不安まで拡大された今回の事象は、まさにバタフライ効果―アマゾンを舞う1匹の蝶の羽ばたきが、遠く離れたシカゴに大雨を降らせる―として説明されるカオス理論(カオティック)として捉えるべきだと。

近代マーケティングの父
ここまでだと、この不安な時代に「ウケそうな」お題なだけなのだが、興味深いのは、著者の一人(共著)が、フィリップ・コトラーであるのだ。「近代マーケティングの父」と呼ばれる第一人者が、この世界的金融危機を乱気流と表現するばかりか、その乱気流の中を無事にフライトした企業を引き合いに出しながら、これからの不確実な時代に必要なものを説く。

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