2006年6月アーカイブ

フラット化する世界(下)

フラット化する世界(下)
トーマス・フリードマン 伏見 威蕃 
日本経済新聞社
フラット化する世界(下)(Amazon.co.jp)

ふはは、やっと読み終えてやったぜ。上巻では、フラット化の現実と要因分析を進めてきた。下巻では、フラット化した世界における、個人の仕事のあり方、教育のあり方、さらには国家のあり方まで著者の考えが描かれる。
「これは非常時の放送システムのテストです」というアナウンサーの険しい声に続いて、三〇秒のあいだ甲高いサイレン音が鳴ったときのことを、いまもよく思い出す。さいわい、アナウンサーが出てきて「これはテストではありません」という一瞬を味わったことは一度もなかった。しかし、私がここでいいたいのはまさにそれだ。これはテストではない。

うはー、なんという注意喚起だ。いや注意喚起などではない、恐怖感の植え付けや脅迫に近いものがある。しかし、その危機感も根拠不明瞭ないい加減なものではないことが、読んでいると伝わってくる。ここで感想として一言「インド人やべぇ」と集約してしまうには、あまりにも乱暴だろうが、要はそんな内容だ。インド人が大量に迫ってくるより早く走って逃げなければならない、そして走り続けなければならない。ただ無心に走り続けるのではない、まるでオリエンテーリングのように現在地と到達地を正しく見定めつつ走らなければならない過酷な競技だ。しかも、知らぬ間に全員強制参加させられているようなものかも知れない。労働スタイルを見つめなおすぐらい考えさせられる。

ブログ・オン・ビジネス 企業のためのブログ・マーケティング

ブログ・オン・ビジネス 企業のためのブログ・マーケティング
シックス・アパート株式会社 
日経BP社
ブログ・オン・ビジネス 企業のためのブログ・マーケティング(Amazon.co.jp)

ブログは、本来weblogと称し個人が「興味深いWebサイトを記録(log)して、自身のサイトで紹介する」ことに由来しているらしい。今現在では、ブログには様々な利用方法がある。その中には、企業が行う「マーケティング」や「広報」、「通信販売」のツールとして利用する方法だ。

この本は、ブログツールの元祖MovableTypeを作った「シックスアパート社」の日本法人が、そんなビジネスブログの「始め方」に重点を置いて書いた書籍。企業によるブログ活用は米国よりも、日本の方が先行しているというのだから、そりゃこんな本でも書いて宣伝しなくちゃならないわな。企業の担当者がどんな思いでブログの導入を進めたのか、といった掘り下げた事例から、リンク集の如く100社の事例とURL列挙まで、「広すぎず・深すぎず」に紹介されている。

こういった他社に先駆けてブログを採用する企業などは、「収支が取れるか」なんて深く考えず「宣伝効果もあるし」なんて進めていくものなんだろうか。それとも、きっちり損益分岐まで予測するものなんだろうか。いやー、事例見てたらモノによっちゃ絶対収支合わないやつあるぞきっと。そうだとしたら推進派は、どのようにして説得して回るんだろーなぁ。

フラット化する世界(上)

フラット化する世界(上)
トーマス・フリードマン 伏見 威蕃 
日本経済新聞社
フラット化する世界(上)(Amazon.co.jp)

以前より読みたかった(そして早く読み終えたい)書籍がやっと読み終わった。しかしまだ上巻のみ。

ITの飛躍的発展により、多くのビジネスの参入障壁が低くなり、ビジネスゲームプライヤーが集う"競技場"は加速度的にフラットになりつつある。私などの凡人には想像もつかない取材力と、世界各地で、またあらゆる業種で点在するのが見つかったネタを総合力で「フラット化」というキーワードを軸に紡ぎ合わせていく。紡ぎ合わせていく際にフラット化の要因として整理分類し、さらに総合するだけではなく、フラット化による経済、資本社会、教育、個人の仕事の在り方までも模索してゆく。

著者自身からも期待と不安が入り混じった感情が見え隠れする将来の世界像は、とてもエキサイティングでひどくドライだ。望遠鏡で他の人が見えない景色が見えたなら、人によるだろうが一喜一憂せずにいられない。以下引用だ。


これを聞いて、自由や飛びぬけて明るい気持ちを味わう向きもあるだろう――まったく新しいツール一式を使って、どの方向へも飛翔し、膨張し、掘り、建てることができる。自由落下中の人間のような不安を覚える向きもあるはずだ。つかまるものもなく、どちら側に支えがなく、プライバシーも保てない。大きな解放感を味わう人たちもいれば、方向感覚を失う人たちもいる。社会が急激な変化を経るときには、たとえそれが一定の方向に向かっていても、きわめて不安定になる、と人類学者や歴史学者はいう。

タイミングよく、一億総SEで述べたコモディティ化の傾向をグローバル化に合わせて先行く内容だ。興味が湧かない訳がない。面白い。上下それぞれ\1,900という安くない値段の書籍だが、一読の価値ある決して高くない望遠鏡だ。下巻は読み終え次第報告させてもらう。

内藤忍の資産設計塾―あなたの人生目標をかなえる新・資産三分法

内藤忍の資産設計塾―あなたの人生目標をかなえる新・資産三分法
内藤 忍 
自由國民社
内藤忍の資産設計塾―あなたの人生目標をかなえる新・資産三分法(Amazon.co.jp)

以前のblogで紹介した本なのだが、非常に面白かったので、改めて整理の意味で再掲。 最近書店では、最近「投資」のコーナーの品揃えが厚いのは厚いのだけれど、「儲かる」ことが前提の安っぽいものが多く(事実、見た目にも安っぽい雑誌のムック本なども多い)、あまり読む気もしなかったのだが、これはパラパラと立ち読みした時点で「買い」と判断した。しかし、正直言うと帯びやタイトルが金色で縁取られていたりすると少々「やりすぎ感」があって、逆にうさん臭く見えてしまっている。 しかし、内容は非常に良かった。比較的、ニュートラルな立場で書かれていて(とは言ってもマネックス証券の方なので、それなりのバイアスはかかってはいるけども)、投資スタイルを押し付けるような書き方はではなく、投資スタイルを確立するための手引きのような印象を受ける。私も証券口座を持って数ヶ月(再掲示時点では数年間になってしまった)になり、色々と手を出してみたい欲求にかられてきているように客観的には思う。一度、ロジカルに現状と、理想や夢とのギャップについて考えてみようと思わせてくれる書籍だ。一気に読んでしまったけど、何度か読み返すことになりそうな良き本に出会えた。 と以前の紹介そのままだが、事実何度か読み返している。
他人を見下す若者たち

他人を見下す若者たち
速水 敏彦 
講談社
他人を見下す若者たち(Amazon.co.jp)

なかなか刺激的なタイトルです。無意識のうちに他の人を見下すような見方、姿勢や言動となる他社軽視の風潮について、様々な書籍と若干の調査を元に著者独自の「仮想的有能感」という視点で読み解く。「仮想的有能感」とは、自身の過去の経験や実績に基づくことなく、あまりにも楽観的で根拠のない自己肯定から生じるものであり、他社軽視などの下方比較によって心理的安寧を得るものであると提言。

ここで描かれる若者とは、まさに自分のことだ。いいや、必ずしもそうではない。
そういった葛藤が読み進めるにあたって強くなる。しかし、とうとう読み終えたときには「これは自分のこと(を指しているの)だ」と甘んじて受け入れることにした。ここで「オレ様に限ってそんな訳がない」と思ってしまえば、それこそ根拠のない有能感だ、素直に聞き入れてみよう。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
梅田 望夫 
筑摩書房
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる(Amazon.co.jp)

バカ売れの新書。2006/02/10に発売されたものの、未だに書店では平積みされているところも多い。オライリーが提唱するweb2.0の時代における技術的要素の解説や、社会構造、収益モデルの変化まで起きつつある「変化」を非常に分かりやすく解説されている。以下は書籍の一部引用で、一億総SEでも触れた内容だ。(6.1.3「大渋滞の時代をどう生きるか」より)
閉鎖的な知だったソースコードが、オープンソース化によってインターネット上に溢れるようになった。その結果、最高峰のプログラマーが書いて世界中で利用されているプログラムのソースコードを、誰もが自由に読んで勉強することができるようになた。オープンソース化は、「プログラムを書く」ことを学ぶための高速道路を一気に整備してしまったのである。
内容が非常に濃く、体系的にまとめられているにも関わらず、読みやすく値段も張らない。「web2.0(ニテンゼロ)って何?」と思ったなら、とにかく読んでみろ。という言い方しかお勧めできない。なぜなら、現在の「インターネットの社会」を形作る技術、さらには参加の思想、社会構造の変化までを広く収めた文章は、この書籍以外に知らないからだ。

下流社会

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下流社会 新たな階層集団の出現

下流社会 新たな階層集団の出現
三浦 展 
光文社
下流社会 新たな階層集団の出現(Amazon.co.jp)

結構、衝撃的なタイトルではあるが、総中流の時代から格差社会に移行しつつあることを指摘する。著者は、下流層を構成する集団が、所得の低いという特性のみならず、生活意欲や他人とのコミュニケーション能力の欠如が特徴的であると論じている。

データ検証が多く、読み物としては少々退屈な感はあるうえ、挙げる仮説にも少々こじ付けではないかと疑問を抱いてしまう。ただ、「勝ち組」の生活スタイルや考え方、「負け組」の食生活やファッションへの投資金額など、プレジデントなどがよくやる、「勝ち組」の統計結果は、ついつい自分との比較材料として「気になってしまう」のが性(さが)であり、Amazonでも反発のコメントが多いようだが、客観的(とは言えないような表現もあるが)な比較材料の持つ魅力に吸い寄せられた結果、ヒットした作品なのだろう。

著者の仮説は、この際どうでもよい。ただ、少なくとも私が幼き頃に父母という存在を通して感じた日本とはその社会構造異なっていること。また、階層化や格差は既に進行しつつあることを自覚するだけでも価値があるのではないだろうか。

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