フラット化する世界(下)
トーマス・フリードマン 伏見 威蕃
日本経済新聞社
フラット化する世界(下)(Amazon.co.jp)
「これは非常時の放送システムのテストです」というアナウンサーの険しい声に続いて、三〇秒のあいだ甲高いサイレン音が鳴ったときのことを、いまもよく思い出す。さいわい、アナウンサーが出てきて「これはテストではありません」という一瞬を味わったことは一度もなかった。しかし、私がここでいいたいのはまさにそれだ。これはテストではない。
うはー、なんという注意喚起だ。いや注意喚起などではない、恐怖感の植え付けや脅迫に近いものがある。しかし、その危機感も根拠不明瞭ないい加減なものではないことが、読んでいると伝わってくる。ここで感想として一言「インド人やべぇ」と集約してしまうには、あまりにも乱暴だろうが、要はそんな内容だ。インド人が大量に迫ってくるより早く走って逃げなければならない、そして走り続けなければならない。ただ無心に走り続けるのではない、まるでオリエンテーリングのように現在地と到達地を正しく見定めつつ走らなければならない過酷な競技だ。しかも、知らぬ間に全員強制参加させられているようなものかも知れない。労働スタイルを見つめなおすぐらい考えさせられる。
