2006年9月アーカイブ

起業家の本質

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起業家の本質

起業家の本質
ウィルソン・ハーレル 西川 潔 板庇 明 
英治出版
起業家の本質(Amazon.co.jp)

起業家とは、何を求めているのか。何に駆り立てられているのか。 その恐怖、苦悩、野心や充足感などの心理を明らかにし、急成長企業を生み出す起業家と呼ばれる人間の本質を明らかにする。他の「起業」の本とは異なり、表面上の描写ではなく人間性、本質を追求する観点が興味深い。リスクと対峙する起業家の描く心理模様は、私を含め「起業家でない人」からは全く想像もつかない世界であることを垣間見ることができた。垣間見たものも恐らく氷山の一角であるのだろう。

後半に、TQMが効果を挙げるものの長続きしない事例が多数あることを挙げ、起業家精神の欠落していると指摘する場面がある。起業家精神をオーナーシップと言い換えている。なるほど、良いことであるのに長続きしないという事例はTQMに限らず、組織の中に無数に存在することは想像に難しくない。金銭的に限らない報奨や評価の仕組みで、モチベーションとオーナーシップを、一言で言うなれば起業家精神を暗黙的に維持し、成功した事例が紹介されていた。

意味どおり会社を起こす意味での起業と、後半に紹介されているオーナーシップの話。うまく表現できないが、この2つが交わる部分に、著者の主張の奥深さが感じられた。そこへきて始めて、表紙の裏に書かれた

企業にとって「本当に」必要なものは何か
という論点が見えてきた気がする。今後折りに触れ何度か読み返したい。

藤巻健史の5年後にお金持ちになる「資産運用」入門

藤巻健史の5年後にお金持ちになる「資産運用」入門
藤巻 健史 
光文社
藤巻健史の5年後にお金持ちになる「資産運用」入門(Amazon.co.jp)

最近は、TVでもコメンテーターとして活躍されている藤巻氏の資産運用の入門書。女子高でのの金融講座の授業内容が主な内容で、その記述内容は誰にとっても分かりやすい。

同氏の著作は、書店で並んでいるのをよく見かけており、少し興味があったのだが、マーケットの見方が少々極端なものだから、てっきり書籍の売れ具合を気にして無理して目に留まるようなインパクトのある主張を掲げているものだと思っていた。読んでみると、主張の根拠となる背景は、それほど奇抜な印象はない。食わず嫌いだったものの、意外と、いや結構良かった。というのが率直な感想だ。

個別銘柄を選ぶぐらいなら、マーケット全体を見据えて経済としてどういう流れにあるのかを読まなくてはならない。と最近株式の個別銘柄が気になりだした私にはぴったりの助言も見つけることができた。注意したいのは、タイトルに「5年後にお金持ちになる」とある点だろうか。当著での主張は、5年スパンでの視野を前提にされたものだから、参考にするならまず5年後あたりには逆ポジションとなることを想定しておかなくてはならない。

親父から「読んでみろ」と言われた本なのだが、同氏の他の著作も読んでみたくなった。

父親のすすめ

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父親のすすめ

父親のすすめ
日垣 隆 
文藝春秋
父親のすすめ(Amazon.co.jp)

23歳にして父親となり、現在3人の子供を持つ作家・ジャーナリストによる子育て論。「ダメ親でいい」などと、現実に目を背けない実践的な内容で、大衆論・一般論に流されない独特な意見展開が痛快だ。
(自分の子が)二十四時間三百六十五日ずっと「いとおしいか」と問われれば、そんなわけあるか、と申し上げるほかありません。

内容としては、小遣いについての考え方や、一緒にフロに入る期限、進学を含めた教育の方針などが紹介されている。読んでみて思うのは、子育てとは本当に自分のアイデンティティが剥き出しになるということ。先日、近々ご結婚される会社の先輩に「結婚したらカルチャーショックを受けると聞くけど、実際どう?」と質問を受けた。結婚による同居生活でカルチャーショックがあるのはもちろんだが、子供が生まれて育児をするようになってからのカルチャーショックは、その倍はあるといいたい。自分自身が幼い頃から長い年月をかけて形成してきた思考プロセスを再認識するきっかけであるように感じる。自分があらゆる物の良し悪しを子供に教えていかなくてはならず、その判断の過程の理不尽さが、大人の今になると、当たり前に感じていたはずなのに疑問が湧いてきたりするのだ。

かなり逸れてしまったが、育児にかかる自身の方針を語ることは、その人の個性が強烈に色濃く描かれるような気がすると言いたかったのだ。子供が自分を映す鏡だという表現を改めて感じるとともに、育児の奥の深さを垣間見た気がした。

男親の育児は楽しい
と著者は最後に締めておられる。

私の経営哲学

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人間発見 私の経営哲学

人間発見 私の経営哲学
日本経済新聞社 日経= 日本経済新聞= 
日本経済新聞社
人間発見 私の経営哲学(Amazon.co.jp)

経営書を読むのは久しぶりなのだが、実は私がとっても好きな分野。日経夕刊に連載された「人間発見」から本当に大企業のトップ24名が、自身の言葉で生い立ちや苦労、そのバイタリティの原動力などを交えた経営哲学を語る。決してエラそうではなく、とても自然な口調で「若い時の、あの苦労は本当に勉強になった。あれがなければ今の私はないと思います」などといった感じで話すもんだから、何やら私の今の仕事も含め、どんな仕事も決して軽視はできないなぁ。などと思えてくる。

そう言えば、昔アルバイト先の社長に「将来起業とかしたいと思うなら、できるだけ多くの会社とその経営者を見ると良い」と言われたことを思い出した。先人の苦労と、その意思決定プロセスを追体験できた気がした。街の巨匠に感謝。

格差社会の結末

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格差社会の結末 富裕層の傲慢・貧困層の怠慢

格差社会の結末 富裕層の傲慢・貧困層の怠慢
中野 雅至 
ソフトバンククリエイティブ
格差社会の結末 富裕層の傲慢・貧困層の怠慢(Amazon.co.jp)

「格差」は政策によって生み出された人工的なもの(=政災)か、それともグローバリズムに身を任せた自然な結果(=天災)か。

この本を手にしたのは、格差を気にし始めて、ついにそのメカニズムにまで興味が及んだ結果だ。小泉政権による政策と格差拡大の因果関係について述べた後、現在拡大しつつある格差に対し、国民が格差縮小の声を上げ始めるための鍵を探り、さらに今後格差の拡大、固定化を防ぎつつ現在の政策路線を維持するために強化される政策を予測するという大胆な内容だ。

富の再配分という非常にセンシティブな問題について、客観的事実を列挙しながら大胆な予測を挙げるも、その予測の多くは決して奇抜なものではなく、悔しくも(?)大方納得してしまった。「『格差容認』から『格差への怒り』に変わるXデーの条件とは」という章では、富裕層、貧困層が抱く不満の矛先が政策の内容によってどのように変化するのかが予測されており、「行動経済学」でも述べられていたような、まさにゲーム理論さながらの世界が描かれている。

別に読んだからといって、富裕層の仲間入りができるとか、貧困層に落ちる心配がないということではない。自分の幸せって一体何だろうか、その幸せにおいて金銭に期待する役割って何なのだろうかと考えてしまった。私はとても他人や、まして国家の幸せを思う余裕もなければ、その器もない。

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