2007年9月アーカイブ

半島を出よ 上

半島を出よ 上
村上 龍 
幻冬舎
半島を出よ 上(Amazon.co.jp)

待ってました。単行本の「反乱軍を名乗る北朝鮮コマンドが福岡を占拠」という内容紹介をチェックしたときから、ずっと文庫本での出版を待っていた。

実は今まで同氏の著作を一度も読んだことがないので、読み始めから個人的な好みや趣向に合うのかどうかを気にかけていた。始まる前には、10ページにもわたって登場人物の肩書きが続き、始まったらしばらく退廃した近い将来の日本がリアルに描かれており、読み進めるにつれ重苦しい雰囲気が心を覆い始める。

しかし、概ね登場人物(というか視点となるべき立場)が出し尽くされると、スリリングに歯車は回り始める。しかし、どんでん返しが待っていたり、伏線が張られていたりすることはあまりなく、大筋では「判りやすく」進行していく。その分、リアルな描写と緩急で揺さぶられる緊張感は、かなりのボリュームにわたる「判りやすい」進行であっても、決して飽きてこない。

著者も分野も今までに読んだことのないものだったので、どう感想を述べてよいやらわからない。とりあえず感じたことを列挙してみる。反乱軍云々の前に、背景として描かれてた預金封鎖が何よりも怖かった。何かを選ぶというのは同時に別の何かを捨てることだが、それがわかっていない人間が大勢いる。という台詞が気に入った。最後に少しホッとしたシーンが描かれていて救われた気がした。

“働く”をじっくりみつめなおすための18講義―よりよく働くための原理・原則

“働く”をじっくりみつめなおすための18講義―よりよく働くための原理・原則
村山 昇 
クロスメディア・パブリッシング
“働く”をじっくりみつめなおすための18講義―よりよく働くための原理・原則(Amazon.co.jp)

なかなかレジでの清算が小っ恥ずかしいタイトルだが、私に「合った」内容、書き方で納得の18講義。凡人には、どうしてもモヤモヤしてイメージが湧き難いキャリア形成なのだが、できるだけモデル化やシンボリックな表現でイメージとして図示し、事例と文献で足場を固めるアプローチで理解しやすい構成になっている(人に合う合わないはあるかも知れない)。

また全体の順序として、取っ付きやすい普段の仕事からスポットを当て、徐々にその意義や自身の中に見つけるべきマインドへと照射してゆく。読み終えると、単純に「夢」と表現されるものではなく「志」に近いものへの探究心が呼び起こされるような感覚を持つ。(あまり言うと自分の首を絞めそうで怖い気がしなくもないが)もしかしたら本来「仕事」って、私がイメージしているよりもっと高貴で立派で高尚で、もしかしたら面白いものなのではないだろうかと、思えてきたりもする。だとすると、そう思えない仕事は、きっと「仕事」なのではなく、それらは全て単純に「作業」と呼ばれるものに過ぎないのかもしれない。

いい「仕事」をしたい。

脳と心の洗い方

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脳と心の洗い方~「なりたい自分」になれるプライミングの技術~

脳と心の洗い方~「なりたい自分」になれるプライミングの技術~
苫米地 英人 
フォレスト出版
脳と心の洗い方~「なりたい自分」になれるプライミングの技術~(Amazon.co.jp)

「洗脳」に詳しい脳機能学者による自己洗脳に関する一冊。洗脳への興味は丸っきりないのだが、ある方が「人が自ら判断している(と思い込んでいる)もののうち、実は8割9割は親の影響を受けている。自身の思考パターンはオリジナルではないという考えが興味深かった」と紹介されていたのを受け購入、読了。

物事の真偽や善悪はおろか、判断基準となる価値観までが、ゼロから自ら生み出されたものではないというのは、少々ショックだった。おそらく、その親の時代で共有されてきた価値観などの多くも、私に大きな影響を与えているのだろう。きっとそれは「文化」と呼ばれているものに違いない。つまりは、先入観や偏見も、人間が根源的に持つ生命への危険に関する意思判断以外は、きっと後天的に(良くも悪くも)洗脳された結果に過ぎないのだろう。

親の古くなったルールブックだけでなく、CMや雑誌や新聞などによるリアルタイムなバイアス圧力にさらされている。そう考えると「これっていいやん」「これはダメやろ」という価値観の判断理由をじっくりと吟味してみる必要があるだろう。誰かが作った既成の枠組みの中で毎日の生活に「押し流される」中では、自分自身のあり方を見つけたり、求めたりすることは難しい。

確か「現象学」かなんとかでこんな話があったはずだ。あそうそう、フッサール。よし、次に読む本はこいつにしよう。

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